2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

兵隊みたいにザクザクと街を踏み鳴らすことは決して能わない

なにかを奪い取るために散歩をする、望ましいものを幻視するため、街を別けるようにせわしく歩く。 ――毎週のように姿を変えるホグワーツみたいな駅舎(小田急線の地下化が永久に終わらない安全安心のラビリンス)、その南口を出て商店街を下ると、マック、ゲ…

都市の脈動に耳を澄ませるきみも一つの筋肉になって収縮している

大都会の孤独にはもうべとべとに手垢がついて、スクランブルも摩天楼もなんだかしゃらくさい。ジーパンとイヤホンがあれば満員電車も死にやしないのは自明の理、改札のキスはぜんぜんロマンチックじゃないし、やつれた自分に酔っちゃうマゾヒズムだけはほん…

光明の絶えた星屑をたどりゆく何者でもない世界線上

今日もまた並行世界の講義室がしずまりかえってざあざあと雨 空色の傘が濡らしたリノリウムに寝転がって見た夢がつめたい 夕立に文字がにじんだ宛て先を訪ねゆく脚のさきから融ける 両足のあいだと緩いワンピースをすり抜ける初夏に恥じらいを脱ぐさみしいと…

かわいいネクロフィリアのきみへ

公然の秘密がたくさんある、たとえば折に触れて何度も何度もしつこく手紙を寄越すあいつのこと。 *前略 これを手にしているきみの嫌そうな顔が目に浮かぶ、ご存知のとおりぼくだってやりたくてこんなことをやってるわけじゃない。けれどもきみは封をあける…